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愛しては、ならない
第47章 埋まらない溝
清崎は、ベッドの上でスマホを睨み付けながら時折爪を噛んでいたが、頬に走る冷たい感触に驚き、画面から顔を離す。
森本が片手でコンビニの袋を持って、もう片手でスムージーを持ち彼女の頬に押し付けている。
「こら、そんなしかめっ面してると、そう言う顔になっちゃうぞ」
彼は柔らかく笑い、彼女の隣に腰かけて袋の中身を並べた。
果物が入ったゼリーに、サンドイッチに、幕の内弁当に、肉団子スープにサラダ。
「何食べる?晴香も夕飯まだなんだろ?」
「……要らない」
彼女はスムージーにストローを差し、口に含む。
森本は肩をすくめて溜め息を吐いた。
「まさかとは思うけど、いわゆるダイエットてやつ?
美容にも健康にも良くはないと思うけどね――。
まあ、我慢できなくなったら後ででも食べなよね」
彼がサンドイッチの封を切り、ハムサンドを口にした時、清崎は唸るように呟いた。
「……剛君から、返事がないの……」