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愛しては、ならない
第48章 喪われた記憶と

「……私……を……許し……っ」
「何を言ってるんだい……菊野……」
「私は……私は……っ」
何処までも優しくて、私を愛してくれる悟志は、私が何を言っても許してしまうのではないか――と思える程に、海の様に深い眼差しを向けている。
でも……そんな事はあり得ない。
どんなに優しい悟志だって、私の罪を許さないだろう……
いや……許してくれなくていい……
私を憎んで……責めて、殺したっていい。
悲しみを堪えながら許される方が、余程辛い……
でも、自分の罪悪感を軽くしたいがために悟志に打ち明けるのは、私のエゴでしかない。
優しい悟志を、また悲しませて何になる?
剛の事を、全て忘れてしまう程に悲しんだ筈の彼を、また悲しみに突き落とすの?

