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愛しては、ならない
第54章 四年後



「――へっくしゅ」


扇風機の真ん前で風に当たっていたら、大きなくしゃみが出てしまった。



――こんな事をして風邪をひいたら、母さんに大目玉を喰らうな……



祐樹は溜め息を吐き、脱ぎ捨てた服をバスルームに持っていき、洗濯機に入れてスイッチを押した。

シャワーを浴びてTシャツとGパンに着替えリビングへ行くと、キッチンのカウンターに菊野の字でメモと千円札が二枚置いてあるのに気付く。



『祐ちゃん、おかえりなさい。明日のお昼過ぎには帰るからね。何か買うか取るかしてご飯を食べてね。
火の元と戸締まりには気を付けて、それから知らない人が来てもドアを開けちゃダメよ?』



「……全く……幼稚園児じゃないし……そんなこと言われなくても分かってるって」



祐樹は苦笑した。




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