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愛しては、ならない
第54章 四年後
彼女と二人きりになって仲を一気に進展させる千載一遇のチャンスではあるが、今から誘って、彼女が完璧なアリバイを作れるわけがないだろう。
彼女の、笑うと出来る頬の片笑窪を思い浮かべ、祐樹は思わず大きく溜め息を吐いた。
「可愛いんだけどなあ……なんか……色々と面倒過ぎて、正直どうしようかって思うよな~」
悟志は、夕食後にさっさと部屋へ戻ろうとする祐樹を捕まえて説教をすることがあった。
小学校四年生くらいまではパパっ子ママっ子だった祐樹だが、流石に今は思春期真っ盛りなのだ。
両親を嫌いなわけではないし、仲が悪いのでもないが、出来ることなら自分一人で過ごしたいと言うのが正直なところなのに。
悟志は、祐樹と差し向かいで目を真っ直ぐに見詰め、こう言う。
「祐樹、お前、好きな子はいるのかっ」
「まあ……いるにはいるけど……」
「だったら……その子の事を大切にしてあげなさい!」
「いや……まあ、普通に仲良くしてるよ」
「普通に、じゃあ駄目なんだよ!」
悟志は大きな目を更に見開き、テーブルを叩いて熱弁するのだ。