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愛しては、ならない
第56章 二十歳の同窓会



「いや……俺は……きっと貴女以外に人を愛する事が出来ないんだ」




心の中に浮かんだ思いがぽつり、と呟きとなったが、同時に馬鹿馬鹿しくなり、舌打ちする。

想い出に浸るなど、全くもってムダだ。今更何を思い出した所で、やり直しも不可能で菊野も夕夏も戻るわけでもない。



「……だから、暇な時間があると嫌なんだよ……ついつい考えちまう」



俺は身支度を整えながらテーブルの上の葉書を睨むように見詰めた。

同窓会は今日の十一時から、隣の市のビュッフェレストランを貸しきってやるらしい。

夕夏がもし来たら気まずい、と少し思ったが、俺は出席すると連絡しておいた。

理由は、森本彰――あいつに会って聞きたい事があるからだ。



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