この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第56章 二十歳の同窓会
菊野はあの時、森本との事を否定も肯定もしなかった様な気がする。
俺も頭に血が昇っていたし、正常に判断も出来ていなかったかも知れない。それに、記憶もあやふやな様な……
清崎にも聞いて確かめたかった。だが俺は結局あの後、学校に戻る事なく転校をしてしまい、西本の家にも一切足を踏み入れていない。
彼女があの家に俺を訪ねてきた、という話を祐樹からも聞いていた。
スマホにメールも寄越したのかもしれないが、俺はあの頃、ふと激情に駆られてスマホを投げつけて叩き割ってしまったのだ。
だが、彼女に何を言ってやれば良いのか分からず、こちらから連絡を取ろうともしなかった。
付き合っているようないないような状態のままで、うやむやにされて、転校してしまった俺を彼女は恨んでいるかも知れない。
きちんと話をするべきだった――と、思うが、あの頃俺は自分の事で精一杯で、清崎の事まで考えられなかった。
森本なら、彼女と連絡を取っているかも知れない。
遅いかも知れないが、一言謝りたいと思った。
そして、森本に聞きたい事――どうしても確かめずにはいられない。
――お前は、菊野と本当に寝たのか?