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愛しては、ならない
第59章 再会②
菊野の目が大きく開かれ何度か瞬きを繰り返し、潤んだ瞬間、ポロリと涙が落ちる。
その光景はまるでスローモーションの様に鮮やかに俺の目に、胸に焼き付いた。
その涙に触れようと頬に手を伸ばしたが、それを避けるかの様に身体を起こした彼女はエプロンの裾で目元を拭い、赤くなった目を俺に向けて小さく呟いた。
「お……お帰り……なさい」
俺は、ソファの背を両手で掴み、彼女を囲いこむ様にして逃げられなくしてやった。
彼女は困惑したような曖昧な笑みを浮かべ、涙目で俺を見上げる。
「つ……剛さん……背が、伸びたのね」
途切れ途切れの声も、以前と変わらない甘さで俺を酔わせて狂わせていく。
俺はソファの背を掴んだまま、彼女の唇に触れるギリギリまで近付く。