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愛しては、ならない
第65章 BEDTIME STORIES
「とてもうつくしい星……だ……」

 菊野は、絵本のラストのページの文字を追って読み上げていたが、絶句してうつむいた。
 
「菊野さん?」

 となりで彼女の声に聞き入っていた剛は閉じていた瞼を開ける。
 
「みちゃだめっ!」
 
 菊野は剛の顔に毛布を被せると、体ごと上に乗っかってきた。
 
「っ……」

 鼻をふさがれた息苦しさと、彼女の重みに一瞬うめく。
 
「菊野さん……これじゃあ、息ができません……」
「ごっ……ごめんなさい!」

 菊野の手が毛布をどけて、視界が開ける。目の前に、彼女の泣き顔があった。
 剛が目を丸くすると、すぐさま菊野の手のひらが彼の顔をおおう。

「な、なんでもないの!ちょっと目にゴミが……ホコリが……」
「……ふふ」

 剛は堪えきれなくなり吹き出した。
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