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愛しては、ならない
第9章 遊園地での賭け④
悟志は、母親に置いて行かれた小さな子供みたいな顔をして涙ぐんでいて、私は泣きながら吹き出す。
――悟志さん、ごめんなさい。
心の中で、私は目の前の優しい悟志に謝る。
心の中は剛への憧れで溢れているのに、貴方の優しさに甘えて、身体に与えられる快感に身を任せて気を紛らせるなんて、なんという卑怯な私だろう。
私は、悟志の涙を指で拭い、出来るだけ、甘い声で囁きかけた。
「もう……
二度とバカな事を言わないで?
私……悟志さんを……」
そこで、息を呑み込む。
「……愛してるから……だから……」
「――菊野っ」
逞しい悟志に、身体中で包まれ抱き締められる。
私は、彼の腕の中、虚ろな目で部屋の暗闇を見ていた。
(――こうするしか……ない。
私は、こうして生きていくしか……)