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愛しては、ならない
第12章 その花は、手折(たお)られて
その物音に悟志が気付き、菊野に跨がったままの姿勢でドアの方を見やると、数センチ程開いている。
「……っ」
剛は、反射的に隠れた。
心臓が、口から飛び出してしまいそうだった。
そして、身体じゅうの血が沸騰したかの様に、熱い。菊野の肢体を見て、剛は烈しく欲情していた。鎮めようと思っても、獣は益々熱を持ちたぎる。
ここまで強烈に欲にかられたのは初めての事だった。
「……っ……くっ」
息を殺し、存在を消そうと努力するが、故意ではないとはいえ、二人を盗み見ていた事を知られたら不味い。
悟志は、閉めた筈の扉の不自然な隙間を不審な目で見たが、組み敷いている菊野が意識を戻して体を起こし、彼の屹立した獣を握ると、扉から目を離し快感に呻く。