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愛しては、ならない
第13章 甘い、地獄の日々
剛は、菊野の額に掌を当て、真面目くさった口調で言う。
「……熱くありませんか?」
「え……そ、そうかな」
もし熱いとしたら、それは貴方にときめいているせい――
私は、口に出せない想いを押し込めながら自分でも額に触れる。
剛は頷くと、私をひょいと抱き上げた。
「え……えええっ!な、何してる……の?」
吃驚して叫ぶが、剛に間近で微笑まれ、恥ずかしくなり絶句する。
「菊野さんは、熱があるので今日は寝室で休んでいましょう。僕は菊野さんに付き添って看病するので、学校へは行きません」
さらり、と言う剛に、私は何か言葉を掛けようとするが、涼しげな目元と、すっきりとした輪郭の美しさに見惚れてしまい、彼に抱えられたまま寝室へ入る。