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愛しては、ならない
第13章 甘い、地獄の日々
彼女は、幸せそうに笑うと、また呟いた。
「わた……しも……
……き……」
「――え」
剛は、聞き取れなかったその言葉をどうしても知りたいと思うが、ぐっすりと眠る彼女を起こすのがしのびなく、毛布を肩まで掛け、そっと頬にキスをした。
「さて……
取り敢えず、掃除するか……」
剛は、頭を掻き、気を取り直す様に、腕を回した。
眠る彼女の顔を見ながら、そっとドアを閉め、胸に渦巻く思いを口にする。
「……早く大人になって……
貴女を奪いたい……」
だが、剛はこの時、地獄へ足を踏み入れたという事を自覚していなかった。
想いが深まれば深まる程に、恋情をぶつければぶつける程、二人は泥濘(ぬかるみ)に堕ちていき、もがき苦しむ事になるという事を――