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愛しては、ならない
第17章 貴女との夜に
貴女に口付けるのは、もう何度目だろうか。
こんなに柔らかく、心も身体も甘く乱す物を、俺は他に知らない。
唇を塞いだ瞬間、彼女は身体を強張らせたが、髪を撫でながら唇を愛すると、小さな溜め息を漏らした。
だが、華奢な腕が懸命に胸を押し戻そうと闘っている。
俺は彼女の唇を舌で割ろうとするが、抵抗が強くてまだ叶わない。
石鹸とシャンプーの薫りが、俺をゾクリと酔わせる。
抵抗が出来なくなるまで抱き締めてやる――
腕に更に強く力を込めると、苦しそうに顔を歪め瞳を潤ませている。
――菊野……
貴女は、俺の義理の母であり、保護者であり、祐樹の実の母親で、悟志の妻――
悟志が貴女を心から愛して大切にしている事は端から見ていれば嫌という程分かる。
だが、俺も貴女を大切に思い、愛している。
愛するという事がどんな風なのか、俺はまだ理解していないのかも知れない。
だが、こんなにも貴女を欲しい。
理屈や常識をひっくり返し破壊したくなる程に。
間違った愛なのかも知れない。
俺が貴女を好きでいる事により、誰かが幸せになるだろうか?
否、誰も幸せになどならない。