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愛しては、ならない
第25章 離したくない
久し振りに、菊野の笑った顔を見たような気がする。
テーブルを挟んだ目の前で、綺麗に盛り付けられたデザートに大喜びしている彼女は、まるでバースデーケーキにはしゃぐ少女だ。
皿を手に、あちこちの角度から眺め、感嘆の溜め息を吐く。
「凄い……かわいくてお洒落で美味しそうで……
これ、どうやって作るのかしら……?」
真剣に、菊野はレシピを推測しているようだった。
その様子が何とも言えず愛らしく、俺の頬はいつの間にか緩んでいたらしい。
菊野がじっとこちらを睨んでいた。
「……剛さんにまた笑われた」
拗ねる声色がやはり可愛らしくて、俺の胸の奥がうずく。
「笑っていませんよ」
「ううーーん!笑ってるし」