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愛しては、ならない
第25章 離したくない
菊野は、悟志の事があってから病院と家の事で忙殺され、睡眠もろくに取れていないようだった。
今に倒れてしまうのではないかと、密かに心配していたのだ。
花野には「今日は菊野のお守りを頼むわね。こんな時だけど、あの頃もたまには羽根を伸ばさなくちゃ……
もし、お酒にでも酔ってしまったら、そのまま泊まって朝早く帰ってくれば良いわよ。
祐樹の事ならだいじょうぶよ。私はどのみち今夜は泊まるから……
剛さん、帰らないなら連絡だけちょうだいね?」
と言われたが、花野も実は可愛い孫の祐樹と居れる事が嬉しいようだった。
目をトロンとさせて小さな欠伸をする菊野の色づいた唇を、紅茶を飲みながらカップに目を落とす振りをして盗み見る。
優しく、気風の良い祖母ーー花野は夢にも思わないだろう。
俺が、菊野を女として愛していて、今すぐにでも部屋に連れ込んでその身体を思いのままにしたい、という邪な欲で一杯になっているなどーー