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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない

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「パパね~昨日、俺が歌を聴かせたら少し笑ったんだよ‼」
「えっ……」
その日の夕食後、食器洗いを手伝って居る祐樹が、私が洗って流すお皿を受け取り拭きながらはしゃいで言った。
手からお皿がすうっと落ちて、祐樹が間一髪でキャッチする。
「あぶね――!!またママぼ――っとして~」
祐樹の高い声に、リビングで掃除機をかけていた剛が振り返り、目が合ってしまうが、私はつい逸らしてしまった。
心臓がドキドキ鳴っていた。
悟志が笑ったという事よりも、剛と視線がぶつかった事に。
目と目を合わせただけで、もう私は平静でいられなくなっている。
この恋を忘れる決心をしたばかりなのに……

