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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない


――私も、貴方だけの物よ……



口まで出かかって、その言葉を飲み込んだ時、彼の唇が塞ぎ、何も言えなくなった。

熱いキスで咥内を、彼の猛りで身体の最奥を掻き回されて、もう正気を保って居られない。

彼にしがみつき、唇を塞がれたまま、狂ったように私も腰を動かしながら喘いだ。



――もっと、もっと愛して……

私を見詰めて、身も心も貫き続けて欲しい……

明日には、もう貴方を突き放さなければならないかも知れない……

だから……今は……思い切り愛して……

私は……嘘でも、貴方だけの物にはなれないけれど……でも……

それでも貴方を好きなの……



「――ゆ……るし……て」


その呟きが漏れた瞬間(とき)、剛と私は同時に昇りつめ、崩れ墜ちた――



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