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愛しては、ならない
第31章 企み
(こいつ……なんなんだ)
内心苛つきながら、感情の揺れを表に出さないように努め、口の端を上げて彼を見て俺は答えた。
「冗談よせよ……菊野さんは悟志さんの事で大変なんだからな……
お前みたいなガキのお守りをする暇があるか」
森本は、頬を膨らませる。
「分かってるさそんなの。
でもさ、だからこそ気分転換が必要じゃね?
菊野さんもこのままじゃ参っちまうぜ?」
「そうかも知れないが、だからってお前が菊野さんにちょっかい出す理由にはならないぞ」
「ふ~ん」
机に両手を突いて、森本は俺をしげしげと見詰めてニヤリと笑う。
「お前がそんな顔をするなんてなあ」
「――!!」
奴は俺のポーカーフェイスをとっくに見抜いていたのか。
それともカマをかけているのか?