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愛しては、ならない
第32章 企み②
「祐樹……森本君から手を離して……降りなさい」
祐樹は目を大きく見開き首を振った。
「何でさ!こんな奴、もっと殴ってやってもいいじゃんか!
ママを……ママを泣かせやがって――!」
私は、乱れた胸元をかき集め、震える身体を何とか起こし、なるべく毅然として言う。
――剛の為に、剛の未来の為に、勇気を出さなくちゃ……
「祐樹。森本君を離しなさい」
祐樹は不満そうに口を開けて何かを言おうとするが、私が真っ直ぐに見詰めていると、やがて忌々しげに舌打ちをして彼のシャツを離し、音を立てて降りる。
その苛立った様子にまた剛が重なって見えて、胸が痛んだ。