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愛しては、ならない
第34章 恋の短夜(みじかよ)
菊野の頬が一段と鮮やかに染まるが、彼女は小さく小さく頷いた。
あまりにも些細な小さな仕草で見逃してしまいそうな程だったが、俺は一瞬たりとも彼女から目を離したくなかった。
今夜のこの瞬間は二度と訪れない。ふたりだけのこの夜を、俺の愛する人の全てを、目に、耳に、この身体全部で焼き付けたかった。
彼女は躊躇いがちに少し脚を開き、顔を逸らす。
俺は、そんな彼女の艶やかな胸元に流れる髪に触れ、囁いた。
「そう……そのまま……もっとだよ……」
「……っ」
彼女はきつく瞼を閉じたままで膝をもう少し開いた。
「菊野……恥ずかしい事なんて何も無いから……
もっと大きく……」
「は……恥ずかしいよ」
「恥ずかしくない」
「だって……そんなにじっと見られてるのに……っ」
「菊野の全部を見たいんだ……
いいだろう?」
「――っ」
彼女は俺のその言葉にもっと真っ赤になるが、ふと何かを決意するような強い光をその瞳に宿し、ゆっくりと膝を開き蜜で濡れた花園を晒した。