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愛しては、ならない
第37章 愛憎②
扉が開き、滑り込むように乗り込み壁にもたれて大きく息をつく。
一体、何が起こったというのだろう。
彼の『取り引き』に応じるつもりで部屋へ上がり、でも気持ちが身体に追い付かず、拒否反応を烈しく起こして過呼吸になり、彼が優しく介抱してくれた――
と思えば、泣きそうになって胸にしがみついてきて、突然豹変して私を追い出した――
助かった、のだろうか?
少なくとも、今日は。
でも、肝心の話を彼と出来ていない。
あの写真を、私と剛の関係を、世間に知られる訳にはいかない。
どうしたら良いと言うのだろう?
私は天井を見上げ、先程の彼の呟きを頭の中で反芻するうちに、ある言葉に当てはまる事に気付き、あっと声をあげそうになる。
「――お、母さん――?」