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戦国×ハロウィン
第2章 三本の矢ver.ハロウィン
『毛利家の事件簿~犯人は大体元就~』
一代で毛利家を中国地方の覇者にした毛利元就には三人の息子がいた。長男・隆元。次男・元春。三男・隆景。毛利元就は三人へ協力し合うように、三本の矢に例えて話をした。
「ここに三個のあんこ餅がある。一個食べれば普通に美味いが、三個一気に食べればどうなる? まずは隆元!」
「もぐもぐゅぐ、むー!」
「次は元春!」
「ぐっ、三つも一気に食べたら、喉に詰まるな」
「そして隆景!」
「そんな事より父上、どうして今日は矢ではなく餅で例えるのですか?」
「ふ……今日はハロウィンだからな。特別にあんこ餅バージョンにしたのだ。一個の餅に苦労はしないが、三個一気は喉に詰まる。お前達三人もお餅のように結束して、敵を窒息させるよう尽力するのだ」
「それは、結束と窒息で韻を踏んでいるのですか?」
「さすが隆景、知恵者だな。隆景は知恵を生かし、元春は武勇を磨き、隆元を支えるんだぞ。隆元は皆のまとめ役として、頑張るように!」
「っ、父上! 隆元兄様が、倒れています! 息をしていません!」
「な、なんだってー!?」
「まさか、さっきの餅を喉に詰まらせて窒息死してしまったのでは……」
「分析する前に助けろー!! 元春、武勇を生かして背中を叩き、詰まった餅を吐き出させるんだ!」
「兄上、今助けます!」
「ああっ、なんか今ボキッって音がしたぞ! ワシの隆元、隆元ー!!」
元就の長男・隆元は尼子攻めを行う前、地元の領主の饗応を受けた後、元就より早くに急死している。
よって、『毛利元就が瀕死の際息子に三本の矢の話をした』という逸話は創作である。本当は元就が手紙に書き記した話だとかなんとか。
余談だが隆元の死後、元就は悲しみのあまり無実の家臣を手打ちにしているが「隆元の死に便乗して危険な部下をまんまと処分したんじゃ?」と疑われており、日頃の元就さんの行いが窺える。