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セフレの彼は幼なじみ
第7章 絵莉花
 そしてまた、違う意味でもツラい気持ちになる菜那美。

 それは、「自分がこっそり陸翔とセフレになっていることは、絵莉花に対する裏切りではないのか」ということだった。

 絵莉花が良い人だと分かったことで、そんな思いも菜那美の中に芽生えていた。

「でも……。私だって、陸翔を諦めることなんて、できない……。9年も想い続けてきてるもん……」

 歩きながら独り言を言う菜那美。

 もちろん菜那美も、「陸翔のことを自分の方が長きにわたって想い続けてきた」ということが、さして大きな意味を持たないことは重々理解している。

 長く想い続けている方が、偉いわけでも、優先的に交際する権利があるわけでも、全くないってことを。

 だが、9年もの間、陸翔一筋で来ている菜那美が、陸翔への想いを断ち切ることなど出来ようはずがなかった。

 そして、今さら自らセフレの関係を断ち切ることも、自分には出来ないとはっきり分かっている菜那美。

 恋人になることができなかった現状において、セフレの関係だけが、自分と陸翔を結びつける唯一の生命線だと、分かっていたのだ。

 この関係が失われると、「ただ登下校を共にする幼なじみ」に逆戻りしまうことが明白だった。

 なので、陸翔の方から切らない限り、セフレの関係は続けていくつもりの菜那美。

 たとえそれが、絵莉花に対する酷い仕打ちになっているとしても。

 どんなに後ろめたさを感じていても。




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