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第8章 その8

約束時間より少し早くホテルに着く。


『怪しまれないように』とカルチャースクールのあるショッピングモールや私の自宅兼書道教室とは、
少し離れた市外のビジネスホテルである。


フロントでチェックインを確認すると、
ホテルマンが『608号室にお連れ様がお先にお見えです』
と丁寧に頭を下げられた。


（もう来ているのか、
あちらから頼んだのだから当然かな）
何となくソワソワしながら、
しかし私は自信が無かったためもしもの時は〔書道の個人的指導〕にすり替えてしまおうと考え…


書道道具一式を携えてきた。