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刑事とJK
第95章 近所のおじさん




あたしの家は、ど田舎にある



お父さんもお母さんも、もう結構な年で

勉強しろだ農家を継げだと、口うるさい




だからあたしは、大人になったら都会に住むと心に決めていた


親が、うっとうし過ぎるから…







申し遅れました


あたしの名前は稲葉由紀(イナバ ユキ)っていいます



現在高校3年生で、っていっても、もうすぐめでたく卒業なんだけど…









家から学校までの長い道のりを、もう通わなくて済むようになるんだと思うと気が楽になる



早く…都会に出たい…












そんなある日





「由紀、前に山田さんの家があったところに、新しい人が引っ越してきたらしいわよ」



「ふーん」






山田さん家はあたしの家から1番近いところにある、1番近所の家だ


でも決してお隣りさんではない






…ってか、こんな田舎にわざわざ引っ越して来るなんて
よっぽどの暇人か、よっぽどの物好きに違いない





…ってか、あたしは今雑誌を読むことで忙しいから、話し掛けないでほしい





畳に寝そべってそんなことを考えながら、由紀は足をぷらぷらさせた





「はい、これ」



「?」





母親が由紀の前に出してきたのは、ダンボールに入ったたくさんの野菜だった





「何よ?」



「これを、引っ越してきた人に配達してきて」



「めんど、やだし」



「あんたどうせ、今暇でしょ?」



「…
ほんとウザったい」




由紀は仕方なく雑誌を閉じて、野菜の入ったダンボール箱を持ち上げた



サンダルを履いて、外へ出る





引っ越ししてきたご近所さんは、20mほど離れた場所にあるのだ









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