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刑事とJK
第99章 根城の裏で笑う者~前編~
「―――まぁ、そんな話はどうでもいい。
本題に入らせてもらおうか」
斉藤は、片肘を机に置いて身を乗り出した。
新米刑事はまた肩を強張らせる。
「は、はい!!」
「まずは名前から聞かせてもらっていいか?」
「僕の…ですよね?
えっと…嘉山茂弘っていいます、斉藤刑事!!」
「嘉山、茂弘ね」
嘉山という新米刑事が斉藤に向ける眼差しは、あくまでもキラキラとしている。
まだ若いうちからその才能を買われている存在に、憧れでも抱いているのだろう。
「嘉山、遺体を発見した状況と時間…教えろ」
「はい。
えー…―――」
昨夜の9時を回る頃。
頼まれていた報告書をチェックしてもらうため、嘉山は遠藤がいる部屋へと向かった。
チェックすると言い出したのは遠藤自身であり、嘉山はただそれに従っただけだったそうだ。
しかし…
「声を掛けても、全然返事はないし…
諦めて戻ろうとしたとき、変な音が聞こえたんです」
「変な…音?」
「そうなんです、なんか…"ごとん"って鈍い音がしたんです」
―――それから気になって部屋に入ると、頭から血を流した遠藤が倒れていた―――
「―――それから?」
「それから…怖くなって逃げちゃいました」
「な…」
斉藤は大きく息を吐くと、失望の目で嘉山を見た。
「おめぇなぁ…
新米とはいえ一端の刑事だろ?
状況もしっかり確認しねぇで逃げただと?」
「す…すいません…」
その失望感の中に多少なりとも怒りがちらつき、嘉山は頭を下げることしかできない。