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刑事とJK
第100章 根城の裏で笑う者~後編~

「嘉山君は、警察官ってどう思う?」
驚いた。
彼女の口からは、もっと詩人とか、そういう柔らかいイメージのある物が飛び出してくると思っていたのに…
「警察官かぁ…かっこいいね。
…もしかして恭子、警官になるのが夢なの⁉」
「うん、そうなの」
なんの迷いも見られないその目は、キラキラと輝いて見えた。
「婦人警官ねぇ…恭子は似合いそうにないや」
「ええ?
どういうことよ」
冗談の通じ合う会話は、本当に心地よかった。
「困ってる人を助けてあげたい…
自分にできることって、本当に少ないから…」
「へぇ…」
その頃の僕は、将来の夢とか曖昧で
どこぞのサラリーマンでもやっていれば、生きていけるなぁ
なんて考えしか持ってなかった。
でも…
「じゃあ僕も、そういう職業に就こうかなぁ」
彼女についていってみるのも
悪くないと思った。
「何それ、そんな甘い道じゃないんだからね」
「わかってるわかってる。
頑張ってる恭子のそばにいるんだから、頑張れるよ」
今でも忘れない。
その言葉を聞いた時の恭子の嬉しそうな顔ときたら…
こんなにも照れ臭そうに笑った顔、今でも忘れるわけがない。
だってまさか、この愛しい人の幸せそうな顔を見られるのが
これが最後だなんて
この時は
思いもしなかったから。

