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刑事とJK
第15章 海物語
pm8時
全員バスに乗り、
今は宿泊先のホテルに到着したところだった
『結構きれいなホテルだね』
「そこそこだ」
「女性は304~308号室、
男性は309~318号室に適当に入ってください」
荷物を下ろし、それぞれ部屋に向かった
ゆうひは、津森と一緒の部屋になった
…正直嫌だなぁ…
津森さんと一緒の部屋…
「ゆうひちゃん、ベッドどっちがいい?」
『あたしは、どっちでも』
「じゃあ、窓側に行かせてもらうわね」
『はい』
部屋についてあるシャワールームで
パパっと入浴を終わらせて、
疲れたのか、津森はさっさと寝てしまった
ゆうひも入浴を終わらせ、ベッドに入った
しかし、なかなか眠れない
ゆうひにとって
その部屋の居心地は悪かった
『…』
何をするでもなく、ゆうひは部屋を出た
長い廊下をずっと歩く
それぞれの扉の上についてあるライトと、
非常口の緑のランプが怪しげに光っている
少し明るいところがあった
自販機の電気が一際明るく光っていたのだ
その前に適当に置かれた椅子に座る
静寂な世界
あたし、一人だけ…
膝の上に置いていた手に
ポタっと何かが落ちた
『…あれ?』
次から次から、頬を涙が伝う
止まることがない
どうにも止めることが出来ない
…あたし…
フラれちゃったんだよね…
斉藤に…
斉と…
喉から鼻にかけてぐっと熱を帯び、
顔は歪み、
肩が震え出す
必死に抑えようと口に手を当てた
しかし、斉藤の言葉を思い出す度に涙が溢れてくる
忘れたい…
やっぱり聞かなきゃよかった…
しかし目を閉じると、
海をじっと見ている斉藤が蘇る
その、どこか嬉しそうで寂しそうな表情が、
愛しくて愛しくて仕方がなかった