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刑事とJK
第32章 いざ出陣




斉藤は一歩前に出て、
その場であぐらをかいた





「正貴、何がなんでもお前に跡を継いでもらう」




「オレは継がねぇ」




「なぜそんなに嫌がる?」



「てめぇこそ、何でそんなにオレを選ぶんだよ?
長女の夫が跡継ぎじゃ不都合なのか?」



藤野は斉藤をちらっと見た


どうやら少しずつ、
今どういう状況にあるのかがわかってきたようだ




「このことは、お前が生まれる前から
決まっていたことだ」




源十郎は低い声で言った




「らしいな、花宝院のお嬢に聞いたよ…
けど、てめぇのシナリオ通りの人生なんて、オレはごめんだ」




「何が…気に入らない?」



「なんべんも言わせんな。
オレは自分のことは自分で決める」




斉藤はスクッと立って出ていこうとした



その時、辺りが一瞬光った




次いで
ゴロゴロ…ドーンッ
と雷が落ちる音がした



真理子は驚いて外を見た





「あ、雨じゃん…」



「しかも強い雨だな…」




源十郎は口角を上げた



「今日は…三人とも泊まってゆけ。
雨で地盤が緩み、途中で土砂崩れにでも遭ったら大変だ」



「…」



オレは帰る…と言いたいところだったが、
確かにこの山の土は少々脆い


実際、子供のころに土砂崩れがあったのを覚えている



三人は、源十郎の言うことに従うことにした




―――




「来てくれたなら、言ってちょうだいよ…、
もっとおいしいものを用意出来たのに…」



斉藤たちの母親の光子は、
真理子や藤野とそんな話をしていた


大きな机には、次々と料理が運ばれて来る





「いいのよ、母さん…
あたしたち突然来たんだし…」





「まあでも、ね…結婚おめでとう」




光子は涙を浮かべて真理子の顔を撫でた




「…ありがとう、母さん…」



真理子はその手を握った










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