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刑事とJK
第39章 冬のシゲの春
「あのよ、ゆうひ…」
ゆうひは足を止めて振り向いた
「オレ、さっきは…」
『話、聞いたよ?』
斉藤は何を言おうとしていたのか
忘れてしまった
「…話?」
『うん、千花さんと何があったのか』
「…」
花宝院とオレの間の話なんざ、
お前に喋れるような内容…ねぇじゃねぇか…
『…ごめんね』
斉藤は驚いた
また、怒りだすものだと思っていたから
『斉藤とか千花さんの境遇を何もわかってないまま…
あたし、ひとりでうるさかったよね』
「…んなこと…」
『…千花さんとは、友達になったよ。
可愛いね、千花さんって』
「…」
『ほんと、さっきはずっと怒っててごめんね…
それでさ、斉藤…』
ゆうひは、寂しそうに笑った
『あたしを選んでくれて、…ありがとう』
「何で、んな顔すんだよ…」
斉藤は思わずゆうひの手を取った
『だって…』
斉藤の手から伝わる温かさは、
どうしてもゆうひの我慢を溶かしてしまう
『だってぇ…』
ゆうひは斉藤の腕の中に飛び込んだ
斉藤は優しく抱きしめる
だって…
千花さんがどれだけ好きと言っても、
斉藤はあたしを思ってくれていたのに…
あたしはそんなことにも気付かないで、
あんたの言うことに反抗してばっかだったから…
あんたを信じてあげられなかった自分が…
バカみたいで…
『ほんとごめんね…』
「こっちこそ、悪かったな…」
ゆうひは顔を上げた
『ありがとう…ね…///』
「ああ…///」
斉藤はゆうひに顔を近づけた
その斉藤の唇を、
ゆうひの指が止めた
「…?」
『1週間チューしてやんないって、
言いましたぞよ~?』
「あ、あれマジだったのか…!?」
『言ったことは曲げませーん』
「ひっでぇ!!」
『よく聞こえませーん』
ゆうひはニコニコして
帰り道を走り出した