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刑事とJK
第49章 有人島サバイバル
〔トゥジャリィーノ、テイティマカヤ…〕
静寂の中、少し高い壇の上でしゃべる
シーザの声だけが響き渡る
「…何しゃべってやがんだ…
日本語使え」
「いやそれは無理だろ…」
〔…マクペ、ユウヒ…〕
その瞬間、周りから雄叫びが上がった
立ち上がって手を叩くものもいる
「な、なんだ…?」
「さあ…」
斉藤と藤野は
何が起こっているのかさっぱりわからない
しかし、斉藤の目にそれははっきり映った
シーザが身を屈め
ゆうひの頬に
優しくキスを落としたことを…
「…んの野郎!!!」
斉藤は手を縛られていることも忘れ、
無我夢中で走り出した
縛っていた縄を掴んでいた男は、
引っ張って止めようとする
しかし、一緒に引きずられていく
斉藤を縛った縄を他の男も掴み、
ここで斉藤の動きは止まった
「ゆうひ…ゆうひ…!!」
「先輩!!」
「斉藤さんっ…」
『…斉藤…』
斉藤は身体を取り押さえられる
「放せてめぇら…!!
ゆうひに触ってんじゃねぇ!!」
斉藤は自分を押さえる男たちを振り払う
それを黙って見ていた南が、
斉藤の前に立った
「…何だてめぇ…」
「…斉藤」
バキィッ!!!
と、南の拳が斉藤の左頬に入り、
斉藤は吹っ飛んだ
「…な…」
手を縛られているため、
足を踏ん張らして起き上がろうとする斉藤
南はその斉藤の胸倉を掴んだ
「お前はちょっと、
黙ってろ」
南はそう吐き捨て、
斉藤から手を放した
そして歩いて、さっきまで座っていた場所へ戻った
『斉藤っ…』
〔…uncivilized(野蛮な奴…)〕
そう呟いたシーザを、
ゆうひは睨みつけた
怒らせたな、と思い
〔I told a lie.(嘘だよ)〕
と言ってゆうひの頭を撫でる
ゆうひはフンッとそっぽを向いた