この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
刑事とJK
第50章 魔物
ゆうひたちの頭上にあった"それ"は
悲鳴がした方へゆっくり移動した
ゆうひたちから"それ"が完全に遠ざかると
二人は顔を見合わせた
「ゆうひ…」
飛鳥は息だけで言葉を発した
『…』
ゆうひは慎重に足を運び、
壁の隙間から外を見た
息を呑む光景…
大木ほどの太さの胴体
綺麗な曲線を描くその体は
周りの建物など比べものにならないほど長く…
その卑しい口元は
真っ赤に
血で染まっていた
ゆうひは口を押さえた
後ずさりして、
飛鳥にしがみつく
『…』
「…何だった…の?」
ゆうひは首を振った
眉を下げ、
その目は恐怖で塗り込められている
『…蛇…がぁっ…』
外から、また悲鳴が聞こえた
もう一度壁から外を覗くと
村の人たちは家から飛び出し、
逃げ回っていた
蛇はチロチロと舌を出し
まるで、目の前に並ぶご馳走を
どれを食しようか選び悩んでいるようだ
蛇はその口を開け、またひとり、丸呑みにした
『っ…!!!』
ダメだ…
ダメだダメだダメだ
『飛鳥、逃げよう!!』
「だめ…腰抜けちゃって…
立てないよぉ」
飛鳥はゆうひの腕を掴んで立ち上がろうとするが
その腰は持ち上がらない
その時、足元で何かが動いた
「きゃああああああ!!!」
飛鳥は驚いて前に飛び上がる
『何っ…!?』