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刑事とJK
第56章 夢
――――――――――
施設内を案内され、
しばらくした時だった
「…そろそろ遊びの時間ですね、一緒にどうですか?」
『?』
女性の後をついていくと、広い庭に出た
女性はそこで、5、6匹の犬を放した
犬たちは楽しそうに駆け回る
『遊びの時間って、
何するんですか?』
「あの子たちは、みんな飼い主に捨てられてたの。
人間に対する恐怖心を取っ払うために
ここで犬たちと触れ合うのよ」
『へ~///』
走り回る犬たちは、
どいつもこいつも生き生きとしていて
自分まで走り出したくなってしまう
「また人と仲良くなれたら、しつけをして
人の役に立つような犬に育てるの。
実際、もうたくさんの子たちがここから世の中に出てるわ」
そう言って、
女性は小さい笛のような物を吹いた
すると犬たちが集まってきた
「おすわり」
その声で、犬たちは上げていた腰を下ろす
「ふせ」
次に犬たちは地面に体を伏せる
「ジャンプ!!」
一斉に高く跳んだ
「よしよし!!
いい子たちだねー!!」
そうして女性が手を広げると、
犬たちは女性に駆け寄って体を擦り付けた
褒められていることを、
ちゃんと理解しているんだ
『ご褒美におやつをあげないんですか?』
ゆうひが聞くと、
女性は犬を撫でながら答えた
「おやつ欲しさで動くような子にしたくないですね。
人とちゃんとした信頼関係を築くには、
ただ褒めているのがいいと私は思います」
『…すごい』
おやつなしでの
犬と人との信頼関係…
ふと小犬が頭に浮かんだ
あの子は…
あの子から、
あたしに触れてきてくれたんだよね…
全部どうでもよくなったあたしを
助けてくれたんだよね
自然と、涙が浮かんだ