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刑事とJK
第60章 泣いてるの?
――――――――――
『…すごい』
斉藤の前には、
みるみるうちに倒れた人の山が出来た
斉藤には少し疲れが見えてきてはいるものの、
攻撃のスピードは落ちない
千堂を除く、
最後の一人が地面に倒れ伏した
「ふぅ…」
斉藤は汗を拭って千堂の方を向いた
千堂には恐怖も焦りも見えない
ただ真顔で、倒れた男たちを見ていた
「役立たず」
千堂は倒れた男を踏ん付けながら、
斉藤の前に立った
「おめぇで最後だ」
「やってみな」
千堂はポケットに忍ばせておいたナイフを取り出した
「卑怯」
「犯罪者に卑怯もへったくれもないよ」
千堂は軽く笑ったかと思うと、
ナイフを振り上げた
斉藤は紙一重でかわし、千堂の腕を取る
千堂はその腕をひねって解いた
それと一緒に、またナイフを振った
「なかなかやんじゃねぇかよ!!」
「すぐに喋れなくしてやるよ!!」
…
胸が、気持ち悪い…
ゆうひは自分の胸を押さえた
息が苦しいわけでもないし、
吐き気とも全然違う
『…』
あの感じ
あの夢を見たときみたいな…嫌な感じがする…
『斉藤…』
斉藤と千堂は、
お互い一歩も譲らない攻め具合だ
ただ、斉藤の方が疲れが見える
『がんばって…』
ゆうひは祈った
自分には、何も出来ないから…