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刑事とJK
第63章 第一歩
―――――――――――
ゆうひと岩崎は腕を組んだ
『お父さん』
「どうした?」
『…ありがとう』
岩崎は目を閉じた
遠い記憶が蘇る
片手で抱えられるくらい小さかったゆうひが
今は自分と同じくらいの高さになって、
こうやって隣で腕を組めるくらいにまで成長した
その過程を知らない自分が情けないが
今さらあれこれと言うつもりはない
今は素直に
喜ぶだけだ
「こっちこそ、ありがとう」
岩崎が言うと、ゆうひはにっこり笑った
本当に、綺麗になって…
二枚の扉が、ゆっくりと開いた
二人は歩調を合わせ、ゆっくり前に進む
落ち着いた雰囲気のチャペル
ステンドグラスが張った窓からは
外の光が通ってくる
左右には、よく知った顔がたくさん並んでいて
優しい顔してこっちを見ている
その真ん中を歩いていくと
…斉藤―――――
いっつもだらけた格好しかしていないのに
今日はバッチリ決まってるじゃん
なんて考えると、
ふいに笑みがこぼれた
そして
岩崎はそこで、そっとゆうひの手を離した
「行っておいで…」
という小さな言葉が耳に入ってくると、
ぐっと胸が熱くなる
でも
あたしは泣かない
むしろ笑って
「行ってきます」
と、小さく呟いた