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刑事とJK
第8章 看病
ぎゃーぎゃーとこんな言い合いを、
かれこれ30分はし続けた
そのうち、お互いの喉も
かすれてくる
「お前なぁ…
こっちは病み上がりなんだぞ?」
『そんだけ元気なら問題ないね、
でも、あー残念。
寝込んでるときはあんなにかわいい顔してたのに~』
「なっ、人の寝顔勝手に見てんじゃねぇよ!!
やっぱりお前のほうが変態じゃんかよ」
『何を~!!』
その時、ゆうひの動きがピタッと止まった
「…何?」
ゆうひは弱々しく手をおろす
『…背中のシップ、貼りなおそ』
さっきまでのテンションと180゜違ったので
斉藤は少し戸惑ったが、
この好意には甘えることにした
ゆうひは斉藤の後ろにまわり、
ゆっくりテープを剥がしていった
「急に…どうした?」
斉藤はそわそわしている
『この傷見てたら…
全部思い出しちゃって…』
斉藤が殴られたこと
あたしが斉藤を追いかけたこと
斉藤が小犬のために
一生懸命お墓を作ってくれたこと
学校が終わって、
いつも通り公園に行ったら…
小犬が…死んでいたこと…
『…』
「…泣いてんのか?」
『ごめん…あたし、も、
泣きたく…ないのに…』
ゆうひは斉藤の背中に寄り掛かって泣いた
背中にポタポタと落ちる雫を
黙ってやり過ごせるほど
器用な男でもない
斉藤は向き直って
ゆうひの手を握る
「何が…つらい?」
『小犬が、いなくなって…
あたし、何のために生きてるのか、
わかんないよぉ…』
ゆうひはその手を
ギュッと握り返す
斉藤には、ゆうひにとって小犬の存在が
どうしてそこまで大きかったのかはわからない
けれど、これだけ言った
「それなら、オレがお前を必要としてやるよ」
ゆうひは斉藤の目を見た
その斉藤のまっすぐな目に
顔を逸らすことなど
出来なかった