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呟きたい
第2章 性格云々①
 「そういえば、有紗帰ったんですね」

 「ああ、さっきベランダから飛び出して行ったよ」

 「あんな狭い所からわざわざ……」

 「この分だと紅乃木や金原も来るかもね」

 「ですね……」

 「片桐ちゃんがさっきから手振ってるから行ってきなよ」

 「あ、はい。行ってきます」

 「……」

 「……メモ預かって来ました」

 「なんで口で云わないんだろうね」

 「嫌いみたいですよ。作中に作者が出て来るの」

 「そうなの?」

 「はい。まぁ、自分の名前で別人を出すのは好きみたいですけどね」

 「ふぅん。で、そのメモは?」

 「あ……と、純情の定義ってなに?とだけ書いてあります」

 「……ないね」

 「バッサリ切らずに考えましょうよ」

 「純情なんていないからね」

 「え……」

 「なんでちょっとショック受けてるの?」

 「いや、類沢先生がそれを云っちゃったら何かが終わる気がして」

 「そう? 瑞希は純情じゃなくて素直だし、純情と従順はまた違う」

 「……?」

 「純情って、なかなかそうだと言えるものはないんだよ」

 「ただ、トキメくだけじゃ」

 「あはは、ナニその少女漫画みたいな定義。純情ロマンなんとか? 違うよ、あれは妄想チックなお姫様達の話であって、純情とはまた意味がズレる」

 「純情……心に穢れがないこと」

 「辞書的にはね。でも、そんな人間はいないよ。欲がないのと同じだから。そんなのは神様だ」

 「純情は神様なんですか?」

 「極端に受け取るな。でもまぁ、それが近いかな」

 「へぇ……」

 「瑞希は?」

 「はい?」

 「純情」

 「俺は純情じゃ、ないですよっ」

 「違うよ。純情の定義」

 「あ、あーっ、そっちですね」

 「くく、純情って云われたと思った?」

 「いえ」

 「瑞希みたいのは、素直な淫乱がふさわしいよ」

 「……穢れありまくりじゃん」

 「そうだよ」

 「もういいです。次にいきましょう」

 「片桐ちゃんの描く小説には純情は滅多にいないよね」

 「"悪戯な思春期"の魅美はそれに近いんじゃないですか?」

 「ここで云っても僕ら以外わかんないだろ」

 「でしたね。気になる方は検索してみてください」

 「次、いくよ」
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