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第29章 バレンタインデーは泣かない

「はい、ドーン！」

「へやっ？　蕗っ？　うわ、ちょ……なにこの大量のチョコ」

「わー。凄いですね。全部チョコですかソレ」

「へっへーん。ボク宛てなんだよ」

「嘘はいいから」

「なんだよハルっ！　しっつれーい。ボクだって結構人気者なんだからね」

「ええ。蕗が一位よ。当然」

「胡桃姉さんは甘いですよ……」

「おい、なんの騒ぎ……だ、コレは」

「あっ。マスター！　みてみてっ」

「ああ。バレンタインか」

「反応薄っ！　マスターにも来てたんだよ」

「ほお」

「あら。誰か来たみたいよ」

「え？　ああ……彼女たちですか」

「いらっしゃーい」

「ども……って、え？　なにこの山」

「麗奈さんですか」

「マキさんもいるわよ」

「ちょっ、道化。いきなり口奪わないでよ」

「ははは、相変わらず仲良さそうだな。マキ」

「父さんには関係ないでしょ」

「あたしにはあるんじゃないかしら」

「めくちゃんっ？」

「イスズ……っ。何故ここに」

「あー。鬱陶しい、そのアホ面。ほらこれ。はい」

「え？　俺のか？」

「あとハルにも持って来たわよ」

「どうも」

「あ……」

「なに出遅れてんのよ、のろま」

「だってえ……」

「麗奈姉さんの後ろにプレゼント発見！」

「ああっ」

「んと……ハル宛てだよ。ちぇっ」

「へえ？」

「ち、違うからっ。マキのだからソレ」

「有難うございます」

「へ？　いや……はい……お粗末様です」

「じゃあ開封しましょうか。全部」

「ボクも手伝うー」

「お願い。蕗」