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呟きたい
第4章 ホストについて①

 「やぁ、瑞希」

 「あっ、ハルさん」

 「ここでは名前でいいよ……ていうかナニここ?」

 「わかんないですよ。俺も今来たところで」

 「さっき廊下で僕そっくりの男にバトンタッチだって云われたんだけど」

 「あれ類沢さんじゃなかったんですか? そういえば服も違いますね……」

 「白衣なんか持ってないよ」

 「あ、紙があります」

 「ナニ?」

 「作者の呟き代弁コーナーみたいですね……さっきまでは違う人たちがやってたんでしょうか」

 「ドッペルゲンガーがね」

 「とりあえず、座ります?」

 「狭いなぁ……ここ」

 「そりゃあ、類沢さんの家とかシエラに比べたら」

 「会場移せないの?」

 「さぁ……」

 「まぁ、いいや。夕方の出勤に間に合えばいいんだし」

 「意外に順応早いですね」

 「意外?」

 「あっ、すみません!」

 「意外、ねぇ。面倒だからね」

 「あぁ……そのままですか」

 「瑞希が二日酔いの日にわざわざ」

 「知ってたんですか!」

 「当たり前だろ。ほら、これ」

 「……さんぴん、茶」

 「あれ? キライ?」

 「いえ、これなんでさんぴん茶って言うんでしょうね」

 「水はなんで水って言うの?」

 「え?」

 「瑞希は今そう尋ねたんだよ」

 「あ……そうか」

 「ホストについて語りたいことが溜まってるみたいだね、瑠衣ちゃん」

 「瑠衣ちゃん?」

 「瑞希は知らなくていいよ」

 「えー……」

 「まずは格好。スーツに詳しくないから一人一人の格好を想像するところから大変。上下は何色が合うのか。上等なスーツはどんな感じなのか」

 「俺もそれよくわからないです」

 「これは、僕にレクチャーしろってこと……?」

 「どうでしょう」

 「ホストになれば教えるって伝えといてくれる?」

 「ホストを知りたきゃホストになれ、ってことですか」

 「虎穴に入らずんば虎児を得ずって言うだろ」

 「作者だろうと容赦ないですね」

 「仕方ないよ。これが僕なんだから」

 「今日のスーツの銘柄は?」

 「言ったらわかるの?」

 「……わからないです」

 「なら言わない」

 「……なるほど」

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