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呟きたい
第6章 欲求不満①
「なんで? てか当の本人は?」
「さぁ……なんで瑞希動揺してんの?」
「千夏、察しろ」
「なにをだよ、一夜」
「うわぁ、金原怖い」
「からかうな」
「あっ、そだ。みぃずき」
「なに? 帰りたいんだけど」
「この餅、類沢先生がくれたんだった」
「はあ? なんで」
「瑞希に渡してって」
「……」
「早く餅食べましょうよ」
「三嗣は黙ってろ」
「千兄……」
「餅焼く係を三嗣に託す」
「マジで? やったぁ! 餅焼く技術には自信ありますからねっ。金原さん一緒にやりましょう」
「あ、バカ。違う。そうやってアルミホイル敷いたら後でくっつくんだよ。こうやって……」
「バカが二人楽しんでる間に状況説明してくれる?」
「一夜、容赦ないな」
「類沢先生どこ行ったの?」
「そのうち帰ってくるよ。あの人のことだからさ」
「アカは会ったんだろ。なんか云ってなかったのか」
「何もー」
「むぅ……」
「なんで瑞希がふてくされてんの」
「ふてくされてはいない、千夏」
「みなさーん! みたらしとアンコと胡麻、どれがいいっすか?」
「……胡麻」
「一夜渋いね。おれは餡」
「千夏も餡で」
「瑞希はみたらしだ」
「りょうかーい」
「はぁ……なんなんだ一体」
「鏡開きって何する日だっけ」
「餅食う日」
「千夏、適当に答えるな。武家の風習だったっけ? こう、歯が丈夫になって無病息災的な」
「へぇ。一夜物知りだな」
「なんか瑞希はテンション低いな」
「できたぞ」
「圭吾、みぃずきの口に突っ込んであげて」
「わかった」
「わかったじゃない! 熱いっ、なにすんだよ、金原!」
「みたらし垂れる垂れる」
「いち兄、これハイ」
「あ、バカ。おれは胡麻だって」
「じゃあ、それちょうだい」
「千夏! 兄より先に食うのか」
「いいじゃん、別に」
「じゃあ、みんなに行き渡ったか」
「おーけー」
「無病息災を祈って!」
「いっただきまーす」
「熱いっ」
「アカ、猫舌なんだから気をつけろよ……」
「美味しい!」
「これ、来年もやりたいね」
「なかなか無茶言うな、千夏」