この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
呟きたい
第6章 欲求不満①
「今日鏡開きだって」
「……へぇ」
「至極どうでもよさそうだね」
「いや、まさか前回の欲求不満をここで晴らされるとは」
「てわけで鏡餅があるんだ」
「アカ、それ持ってきたのか」
「見て、みぃずき! 顔! 顔とおんなじ大きさ!」
「でかすぎだろ」
「二人じゃね」
「で? なに持ってんの」
「あぁ、流石にナイフじゃ無理だと思って」
「凄いな」
「サバイバルナイフ」
「ナイフじゃん」
「あっ、みぃずき。馬鹿にしちゃダメだから。ナイフとサバイバルナイフは別物だと思った方がいいよ。普通のナイフだと皮膚に貫通させるのさえ難しいけど、サバイバルナイフだと骨まで簡単にグサッと刺し」
「わー! 鏡開きから何とんでもない話してるんだよ!」
「だって、みぃずきが訊いたから」
「俺のせい?」
「うん」
「……」
「さぁ、切ろうか」
「これ、俺が支えんの。不安だ」
「わかった。もう一人呼ぼう」
「え」
「圭吾!」
「いたのかよ?」
「いたんだよっ!」
「うわっ、びっくりした……」
「アカ! お前呼ぶの遅すぎ。あと瑞希! 類沢だと思ったのかよ! なんだその表情は」
「いや、別に。類様先生とは思ってないけど」
「類様?」
「え? 俺今そう言った?」
「あぁ」
「確かに云ったよ」
「うわぁああああ! 俺頭おかしい! ていうかとっくにおかしいのかもしんねぇけど、マジ? イヤだもう帰りたい」
「とにかく、落ち着けよ瑞希」
「金原、こっち押さえて」
「あ、あぁ」
「俺帰るから」
「ちょっと待てって! おい、瑞希!」
「圭吾、ちゃんと押さえてて」
「危ねぇっ。アカ、なんで続行するんだよ。指先切れたかと思ったぞ」
「餅食べようよ」
「先に瑞希止めないと意味ないだろって!」
「瑞希捕獲ー。あ、紅乃木が餅切ってる」
「一夜!」
「え? 餅っすか! 食べる、食べるっ。千兄も早く」
「……るさいなぁ。三嗣はちょっと静かにしてろよ。ほら、瑞希離して」
「なんで羽生兄弟がいんの」
「よく聞いてくれた、瑞希」
「鏡開きやるって聞きましたから」
「誰から?」
「あれだよ」
「類沢先生から」
「へ?」