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呟きたい
第10章 ホストについて②
「ホストホストって云うと、なんか妖しい雰囲気感じません?」
「ホストに云われてもね」
「俺は最近まで常人でしたっ」
「へえ」
「あっ、いや。類沢さんが異常とかではなくてですね」
「それで?」
「逆にキャバクラっていうと、もう少し軽い空気を感じるっていうか」
「花魁の方が素敵だよね」
「素敵……?」
「教養もあって、必ず客より上座に座る。媚びたりせずに、気高く振る舞う方が女性は綺麗だ」
「類沢さん、もしかしなくてもキャバクラ嫌いですね?」
「大嫌い、かな」
「はぁ」
「瑞希は興味ありそうだね」
「どんな見かけなんですか」
「ホストクラブに彼女と来るようなもの好きだから」
「っ……それは興味本位っていいますか! その」
「興味本位並にはキャバクラ行ってみたいんでしょ」
「う……」
「今連れて行く気かなって思った」
「思ってません」
「僕は行けないんだ。ブラックリストに載せられてる」
「え」
「チーフもね」
「な、なんで」
「昔行った時に、随分と態度が悪い娘がいてね。余りに苛ついたから、その店潰しちゃったことがあるんだ」
「つ……潰し?」
「それ以来連携店が警戒するようになって、知り合いのホステスに聞いたところ写真付きでリストに追加されたらしくてね。結局あれが最初で最後だったね。二度と行く気にもならないけど」
「色々凄いですね」
「所在の一つから言葉遣いまで、気品っていうのは簡単には身につかないし、見ていて気持ちが良い女性なんて殆どいない。そうじゃない女に金を出して飲むくらいなら棄てた方がマシだって気づいた」
「類沢さんの彼女になる人は大変ですね」
「そうかな」
「絶対そうです」
「ふ……」
「なに笑ってるんですかっ」
「いや。なんで瑞希が僕の彼女の心配なんかしてるんだろうって可笑しくて」
「あっ、失礼しました!」
「謝んなくてもいいけど」
「そういえば今回メモ読んでませんね」
「キャバクラの話を持ち出したのは?」
「……俺です」