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呟きたい
第10章 ホストについて②
 「昨日は猫の日だったみたいだね」

 「2月22日? 本当だ」

 「猫は好き?」

 「んー……パンチしてくるじゃないですか。あれがちょっと」

 「普通に接してたらされないでしょ」

 「ええ! 普通ですよっ。こう猫の前足持って二足歩行でにゃにゃ~みたいな。やりません?」

 「…」

 「失笑って…」

 「今度ネコ耳付けた瑞希を立てなくしてあげようか?」

 「どんなスパルタですか!」

 「スパルタとは違うんだけど……ほら、無駄話やめて本題入るよ」

 「類沢さんが始めたんじゃ」

 「ホストクラブって二種類あるじゃないですか。騒ぐ感じと優雅に楽しむ感じ。あのちがいはどこで決まるのか、と。歌舞伎町と銀座の違いだよ。次」

 「ちょちょちょ! そんな一言で片付けていいんですか」

 「まあ、歌舞伎町にもそういう手の店は無きにしも……対象とする女性の焦点と雇ったホストの質で決まるんじゃない?」

 「シエラは確実後者ですよね」

 「飲んでー飲んでー飲んでー飲んでーとか言いたくないからね」

 「よくご存知で……」

 「そっち側から流れてくるホストもいるけど、大抵辞める。焦れったいんだよね。勢いだけでいけない営業は。僕からしたらホストに向いていないだけだけど」

 「ホストというよりクラブって感じですもんね。音楽もガンガンで……あれ?」

 「ああ。確かにホストクラブって名前ではあるけど。クラブって元々は社交団体って意味だからね」

 「そうだったんですか!」

 「……ディスコかなんかと間違えてない?」

 「えっ……あ、いや。はい、自信ないです」

 「料金の違いにも現れるよね。数千円の瓶ビールが収入を占めていたり」

 「シエラって何が一番売れているんですか?」

 「チーフに訊きなよ」

 「あ、すみません……」

 「僕から見たらドンペリかなぁ」

 「ロゼも含めて?」

 「多分ね」

 「桁が違いますもんね」

 「ビールと? まあね」

 「あ、ちなみに千夏さんに聞いたんですけど。指名客から他の客に移る時はグラスを飲み干してからって本当ですか」

 「……僕はしていないな。それが礼儀だって重んじる人は確かにいるね。客が自分のために入れた酒なんだからって」

 「へえ。勉強になります」

 「無理して酔いつぶれないでね」

 「うう……」

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