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呟きたい
第19章 夏企画~単発~
「金縛り?」
「そうなのかな。それまで動けなくなったことはなかったから、わからないけど。数分沈黙が続いて、やっと彼女が口を開いた。理恵のこと、いつでも見ているから……あの子を傷つけたらいつでも貴方を……殺しにくるから」
「それ、姉の方だったんですか」
「そういうこと。クラクションが鳴って、目の前にトラックが迫っててさ。急いでハンドルを切ったね。それから隣を見たら彼女がいなくなってたんだ」
「シーツは濡れてた?」
「いや。ただ後日談があってさ」
「うわやだ、聞きたくないです」
「理恵が次に来店した時に姉がいるかって訊いてみたんだ。そしたらこう答えた。いました、でも五年前に交通事故で亡くなりましたって」
「おおぉ鳥肌」
「あるある~。ね、紫苑」
「あってたまるか」
「で、彼女が昔付き合って騙された男の行方を篠田に調べてもらったらさ、異常死してたんだよね。飲酒運転でもなかったのに、カーブで海に車ごと飛び込んで水死。その生命保険の受取人が理恵になっていたらしい。関係を絶ってから一年過ぎていたのにね。亡くなった姉の遺書には、いつでも守るからね理恵って書いてあったらしいよ。以上です。ふっ」
「なんかもう帰りたいんですけど。というかホストで幽霊に憑かれるとか怖すぎます。類沢さん生きてて良かったですね」
「今も彼女は僕らを見ているかもね」
「一番呪われる可能性高いのは瑞希だねぇ」
「なんでですか!」
「理恵は引っ越したから、もうシエラに来ることはないよ。たぶんね」
「たぶんとかやめてくださいよっ」