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食べてしまいたい
第2章 刺激のない日常
もう一度鏡の前に向かうと、また真剣な顔がちらり。
綺麗だなって思うしかない。
「口ちょっと開いてくれる?」
「はーい」
言われたように従った。
筆がゆっくりと唇に流れていき、発色のいい色にみるみるうちに変わっていった。
「やっぱりすごい…」
「言ったじゃん!腕には自信あるって!」
バランスといい、配色といい…全てが女性に向いていた気がした。
「いっそ、なっちゃえばよかったのに~!」
「そうね…今ならそうしておけば良かったと思うわ…」
たまにあるこの不思議な流れ。
あたしは冗談交じりなのに本気で捉えちゃってるときがある。
あたし、まずいこと言ってるのかな…。
また不安が積もった。
「そっか!じゃあ、仕事行ってくるね。今日も帰ってくるから!」
「ちょっと!ここはあんたの家じゃなわよ!!…」
そんな言葉は無視、無視!
だって、家は実家だからね!
別に何もないもん…。