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食べてしまいたい
第4章 おねえの誕生

やっとあのメイクにたどり着く。
「誰だかわかんない方が身の為ってことで」
黒のアイライン、アッシュグレーのカラーコンタクト、そして真っ赤な口紅。
別に、変というわけじゃない。
むしろ綺麗に見えるが、
「誰…?」
本当のことを言っただけなのにはる姐はずっと笑いまくってる。つぼった、とはこのことだろう。
「っはぁ~!あんたがそんなこというなんて…ぶっ…あっははっ!」
「なによっ!」
そう言いながらもあたしは笑っていた。
「…誰っていうほど綺麗ってことでもあるんだよ」
「七菜はもともとの素材がバッチリなのっ。肌もすべすべだし、睫毛もこの年にしては長いし、唇も厚めよね」
「えー…唇は薄いほうがいいなぁ」
「そんなことないわ。キスの時とか、薄かったらキスしてるなんて思わないわよ」
「…っ」
はる姐って、あんまり本人は気づいてないけど結構経験豊富だよね。
ちょっとだけ胸が痛い。

