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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
 応えない薫子に、小平太が首を振った。
「まあ、どうでも良いさ。お前が公卿の姫さまだっていうんなら、俺が幾ら何を言ったところで、理解できるはずがねえ。俺たちは生きる世界が天と地ほども違うんだから。お前も寺に来るまでに村跡を見ただろうが。昔はあの村もそれなりに人が住んで、賑やかだったんだぜ。
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