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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
「薫子!」
 帝の叫びを無視し、薫子は素早く振り返る。
「早く逃げて」
「お前―」
 小平太の顔に驚愕が現れている。薫子は両手をひろげて検非違使たちの前に立ちはだかりながら、怒鳴るように叫んだ。
「良いから」
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