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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
 薫子が懐剣を納め、一同が寺の境内に出たときには、既に髭切の姿は影も形もなくなっていた。それをいえば、検非違使らを率いた帝がここに到着した時、既に手下たちは気配を察して逃げていた。小平太が身を挺して庇ってきた弟分たちが彼を残してさっさと逃げたのは皮肉な話ではあった。
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