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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第10章 盗賊髭切の正体
 失礼しちゃうんだから、と、頬を膨らませていると、背後から腰に回された手に力がこもる。
「やっばり、そなたは面白き女だな」
 笑いを含んだ声に、薫子は顔だけ振り返って帝を見た。
「怒ってないの?」
「そなたを咎めることなど、できるはずがない」
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